しまの島

ふらっと日常。

【宮部みゆき】【あんじゅう】感想

上記の本を読了した感想です。記憶違いとか勘違いとかの可能性あり。

ネタバレ等気にしていませんので悪しからず。

 

 

 

 

あらすじ

三島屋の主人の姪・おちかは以前の百物語で縁があった清太郎とおたかと梅見に出かける。帰りがけに寄った料亭で、隣の家族と出会うが、そこには不審な人物がおり...。それをきっかけに、おちかを取り巻く人々から不思議な物語が集う。三島屋奇譚第二弾。

 

 

 

 

まずは、平太と白子様のお話。白子って名前がもう白子様の本体を表しているよね。まあ、奇をてらってなくて良いと思いますが。一度神と祀って力持っちゃうと、扱いに気をつけなきゃいけないなんて昔なら常識だろうし、小野木の村人は下手打ったな〜という印象が強い。和魂を荒魂にしちゃってまあまあ。ちゃんと山中に祠作ったなら、注連縄するなりしてちゃんと閉じ込めておけばいいのに。杜撰な管理のおかげで、白子様は新たな居場所を見つけることが出来たから結果オーライだねどね!平太も立派な船頭になれるとよいね。水を干しちゃうだけなのに何で逃げ水なんだ?と思ったけど、江戸の水道システムにおける現象を表していたのね。

次は、お勝との出会いのきっかけ話。ひ、人ってこえ〜!!!お化け・妖怪より生身の人間の方が怖いっていう話ですね。結局、お花じゃなくて生身の人間がお梅に影響を与えていた構図が、「おそろし」の藤吉の話に似ている。ちなみに、おちかがお内儀さんに針が無くなってないか聞くまで、人間の仕業と気づかなかった私って...。こんな歳して純粋っていうか、阿呆すぎない?ところで、おそらく何の思惑もなかった小一郎が姑の夢を見て、体調を崩したのは何で何だろう?彼は彼で、両親がお梅ばっかり気にするから、だんだんと一緒に暮らしたくなくなっていたのかな。

もう一つ、おちかがおたかと距離を置こうとする心境がいまいち分からん。

「おたかに会っては親しみを深め、慰められてきた」

「おちかが徒に慰めを求め、いつまでもおたかにべったりするのは、間違いだ」

とは言ってけど、なんでなんだろ。おちかはおちかの快復に慰められている。それは罪深い過去がある自分でも、人を救うことができたから?それとも、屋敷に囚われていたおたかに、過去に囚われている自分の境遇を重ね合わせて、いつかは自分も過去から解放されるかもしれないと希望を持てるから?おちかがおたかの快方に慰められている理由がいまいちよく分からない。だから、おちかが百物語の聞いて聞き捨てにこだわるのかが分からない。もしかしたらおちかも、聞いて聞き捨てにすべきと思う理由をはっきり理解していないのかもしれない。人の心って複雑。

三つ目は本の題名にもなっているくろすけのお話。くろすけ、切ない...。この話の特徴は、くろすけが死んでいるところだ。師匠と初音が出会って別れた話だけでも話としては成り立つし、いい話だと思う。なんで宮部はくろすけの死までを書いたんだろう?お屋敷焼失によるくろすけの死は、くろすけにとって救いだったんだろうか。人が恋しいのに人には近づけない暮らしを、くろすけはどう思っていたんだろう。私は、くろすけはあのまま師匠夫妻と暮らして塵に戻ってしまった方が幸せだったんじゃないかと思う。好きなことを制限されて取り上げられて思い出にすがって生きるより、できるだけの対策はするけども人のそばで生きて、そして死んでしまう方が幸せだと思った。そういう考えの私から見ると、くろすけの話は切ないし寂しいし、なんだか無念を感じる。

最後は、人が物の怪になる話。お花の話とは違って、人って怖いというより、人の業ってどうしようもないなって印象がある。まあ、リンチしたらされた側が化け物になって復讐したってことだよね。いたぶるより、富一を里から追放したほうが穏便に住んだんじゃないかな〜と部外者視点から思った。

 

第1作目の狭間のお屋敷がまた出てくるかと思ったけどそんなことなかった。ハリー・ポッターのヴォルデモート卿のごとく毎巻対決するもんだと思っていたのに。清太郎とは今後何か起こらない限り結婚することはなさそうだな。おちかは青野が気になるみたいだし。でも、青野とおちかって釣り合いとれないよね、今後どうなるかな?

 

続編あり。