しまの島

ふらっと日常。

【宮部みゆき】【おそろし】感想

上記の本を読了した感想です。記憶違いとか勘違いとかの可能性あり。

ネタバレ等気にしていませんので悪しからず。

 

 

 

 

あらすじ

 日の出の勢いの袋物屋・三島屋に主人の姪・おちかがやってくる。三島屋で女中として働いていたおちかは、たまさか主人の碁仲間の接待を引き受けることとなる。それが三島屋・百物語の始まりであった。様々なお客の物語を聞くにつれ、おちかに自分の過去と向き合う心の素地が出来ていく。そして、ついにおちかの心を塞いでいる松太郎と向き合い、自分の心に一区切りつけ、前に進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

うーん、この本前に読んだことあったなー、ということに読んでから気づいた。まあ、別に内容覚えてなかったからいいんだけどね!宮部みゆきは相変わらず安定して面白いなーと思った。

まずは、罪人を兄に持つ藤吉の話。人間の本質を書いている話って印象。人ってさ、無意識のうちに、自分に利益のある人としか付き合おうとしないよね。かくいう私もそうだけど。一緒にいると楽しいからって付き合っている友人でさえも、その人が自分に不利益な人になると疎遠になる。藤吉にとって、罪人になる前の兄は自慢の種であったけど、罪人となった後は、自分の生活に安定を与えようとしない、不利益な相手になってる。そして、疎遠になる。そして自分のやっていることに罪悪感を覚える。ここで罪悪感を覚えるところが、藤吉の生来の気弱さやら優しさやらを表しているよね。そして、自分は散々悩んんで苦しんできたのに、元凶である兄はのうのうと暮らしていることが許せなくなった藤吉は兄を呪い殺してしまう(藤吉談)、と。読者に藤吉に共感させ、同情させてしまう話の運びがうまい。客観的に見たら、今まで散々周りに利益を与えてきたのに、一度の過ちで手のひら返される藤吉の兄もそれなりに可哀想なのにねー。それを思い起こさせないあたりが、日本人の判官贔屓の表れであり、宮部のうまさってところなのかな。

次に、幽霊屋敷のお話。やっぱり、住んだ人ほとんど死んでるんじゃないかー!!!しかも金の出どころは結局掴めてないし。何だろ、屋敷が取り込んだ人から奪ったのかな。昔は武家屋敷だったらしいし、それなりにお金も持ってそうだ。清次郎とのニアミスがわざとらしいね。

三つ目は、狂言回し・おちかの話。にゃるほどね〜。そりゃ実家に居にくいわ。ただ恐れていた記憶を、自分の力で思い返し、何であんなことが起こってしまったのか考えるおちかの成長が垣間見えてよろしい話。

四つ目は、近親相姦の話。お吉さん、最後は鏡から出られてよかったね。古来、鏡は魔除けの意味合いが多いのに、何で近年は逆な意味合いで用いられることがおおいのかね?

最終章は、過去の失敗を次の成功に生かす失敗学を連想させるおちかの成長話。はっきりとおちかの前に進む様子も見られるし、各話がねっとりしてるわりに爽やかな締めでした。

 

 

続編あり。