しまの島

ふらっと日常。

【今村昌弘】【屍人荘の殺人】感想

 

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

 

 

上記の本を読了した感想です。記憶違いとか勘違いとかの可能性あり。

ネタバレ等気にしていませんので悪しからず。

 

 

 

 

あらすじ

ミステリ愛好会の葉村と明智は、探偵少女として名を馳せる剣崎と共に映画研究部の夏合宿に参加する。合宿会場である紫甚荘付近のライブ会場にてバイオテロが発生、テロの被害者であるゾンビたちに追われ、葉村たちは紫甚荘に立て篭もりを余儀なくされる。しかし、陸の孤島と化した紫甚荘で連続殺人が起こる。明智を亡くした葉村と剣崎は生き残りを賭け、事件の解決に挑む。

事件は、映画研OBに恨みを持つ静原が起こしたものだった。去年、立波が捨てた女性は、静原が姉と慕う人物なのであった。静原は毎年合宿で女性あさりをする映画研OBに激しい恨みと怒りを持ち、今回の蛮行に及んだのである。

最後、葉村はゾンビと化した明智に襲われそうになるが、剣崎がこれにとどめを刺す。一行は、無事自衛隊のヘリに救助され、日常に戻るのであった。

 

 

 

 

 

明智〜!!!そんなあっさり、かっこよく死にやがって。探偵役が二人は多すぎるから、剣崎が死ぬかと思ってたんだけど、明智が死んでしまうとは...。あんなに冒頭では主人公感出していたというのに...。葉村が途中でゾンビの明智が襲って来ても殺せないとか言ってたから、ゾンビとしてまた登場するなーとは思ってたけど、登場したシーンがほんと切ない...。葉村がゾンビとして襲ってきた明智を殺せない、っていうシーンの感情がなんだか認知症になってしまった家族を見る心境と重なって見えてしまった。あんなにいい人だったのに何で、と。

 

立波の殺害トリックはヒントが出た時点で分かった。エレベーターの重量制限が序盤からそれなりに計算されていたから、何かに使われるなーとは思ってたし。逆に進藤のトリックは全然分からなかった。なるほどね〜。そんなに恋人に惚れ込んでいたのね。星川は進藤にとって本当に高嶺の花だったんだな。そのために身を滅ぼしてもいいと思うくらいには。

侵入してこようとした出目を刺したのが静原だったから、なんか違和感あるなーとは思ってたんだけどね...。まさか犯人とは思わなかったわ。

 

紫甚荘立て篭もり直後に、剣崎が葉村を助手として誘った時、最初は無神経すぎるでしょ、って思ったけど、剣崎が探偵として名を馳せるようになった経緯を読んで、納得した。また事件が起きた、しかも今回は単なる殺人ではなくゾンビに包囲されるという、全滅してもおかしくない事件だ。今回こそ、もう自分は生き残れないかもしれない。不安で不安で不安で、その感情の発露があのお誘いだったのである。

 

犯人の独白の部分が二回あるけど、二重のミスリードがあったことにびっくりした。一つ目は、この独白がそれぞれ違う人物のものだったこと。つまり、憎い男たち・外道、っていうのが示す相手が違う。二つ目は、殺人犯を葉村だと誤解させること。二つ目の独白は明らかに葉村のものだとわかる要素がある。さらに、剣崎からワトソンと呼ばれた時、それまでは何も感じていなかったのにいきなり、「自分はワトソンなんかではない」と記述がある。このことから、もしや犯人は葉村か!?となる。

 

バイオテロ犯の手帳、何か事件解決の糸口になるのかと思ってたら、事件にはぜんぜん絡んで来なかった。最後、手帳のせいで重元が何やら面倒なことになっていたのが、随分葉村に都合のいい結末だなと感じた。

 

 

読み終わって見たら、これは剣崎・葉村のコンビの始まりの事件だったのだと分かる。続編も読むぞ〜。

ちなみに、表紙誰かと思ってたら、剣崎だったんだね。てっきり犯人だと思ってたよ。